いまや患者数は国民の約3割と推計されるなど、社会的に大きな問題となっている花粉症。
わたしもかれこれ20年以上花粉症で苦しんでいます(涙)
あの鼻のムズムズ感や倦怠感がつらいので、
病院に行って、薬飲んだりレーザーとかして症状抑えて、さらにマスクしたり、服についた花粉をはらったりして…etc
と、健気に花粉から身を守っているわけですが、冷静に考えたら、
と思うわけですよ。
そんななか、先日、すごいインパクトのツイートを見ました。
木曽から帰る時に見た光景
ガスじゃない
水蒸気でもない
野焼きでもないコレ全部、杉花粉だ!!! pic.twitter.com/OPtD5bisID
— ボボ・AKEBOVO (@AKEBOVO) March 7, 2019
毒ガスかよ!って感じですが、
そもそもなんで日本にはこんなにスギがあるのか意味がわかんないし、腹立ってきたので、スギのことをいろいろ調べてみたんです。
その結果、
15年後の2035年は今より大量のスギ花粉が飛んでいることがわかりました(チーン)。
というわけで、本記事では日本におけるスギの状況をまとめながら、なぜ今後もスギ花粉症が改善されないのかについて書いています。
↓花粉症の治療方法(体験記)を見たい方はこちらをご覧ください↓
なぜ日本はスギが多いのか?-スギの歴史と花粉症-
花粉症にとって憎たらしいスギですが、そもそもなんでこんなに日本に生えているのでしょうか?
まずはその歴史を調べてみました。
日本におけるスギの歴史
まず、われわれの祖先とスギとの接点は早くて、なんと弥生時代にはスギを水田の矢板として使っていました。
としみじみ思った次第です。
つづいて奈良時代。
書物「日本書紀」では、スサノオノミコトがスギの使い方について記しています。
『杉および樟、この両の樹は、もつて浮宝(舟)とすべし。檜はもつて瑞宮(宮殿)をつくる材にすべし』
訳:スギ・クスノキは舟に、ヒノキは宮殿につかうように
スギは加工しやすかったので、生活のなかでよく利用されていたようです(今もそう)。
その後、スギの香りや年輪の模様の美しさに着目し、芸術に活用されたりもしますが、
太平洋戦争の時に、軍需目的(資材・燃料)で大量に伐採されました。
その結果、山地は荒廃して、台風や水害の被害が大きくなってしまったのです。
今までは自然に育ったスギを切って利用していましたが、
- 戦中・戦後の大量伐採で荒れた山地を復旧させるため
- そして高度経済成長期に住宅を大量に建築するための木材として
スギ(とヒノキ)を大量に植えていったのでした(1950年「造林臨時措置法」)。
スギを植えた理由は、
- 成長がはやい
- 加工がしやすい
- 建築材・家具材など幅ひろく使える
など、とにかくコスパが高いからでした。
スギ花粉症の発見と、その後の残念な展開
ということですが、戦後のスギ植林の結果、いかに残念な展開になっていくかをご覧ください。
ハゲ山となった山地を復旧するため、そして大量の木造住宅を建てるために
と方針を立てた政府。
しかし、この当時は「スギの花粉が人間にアレルギー症状を引き起こすこと」を誰も知りませんでした。
そして、1964年に初めてスギ花粉症が学会で発表されます(斎藤洋三氏の「栃木県日光地方におけるスギ花粉症 Japanese Cedar Pollinosis の発見」)
この時点でスギを植えるのをやめたら良かったのですが、
実はスギは植えてすぐじゃなく、30年以上たってから花粉を飛ばすKYな木だったのです。
なので、時間差をつけた1990年代に大量の花粉が飛散し、日本で花粉症が問題になっていったのでした。
しかも、です。
1964年に木材輸入の貿易自由化が始まったことで、海外から安い木材が輸入されるようになります。
その結果、国内の林業が衰退。スギを切る量がますます減っていきます。
また、国内の都市化が進んでアスファルトやコンクリートが増えた結果、一度地面に落ちた花粉が風で何回も舞いあがって再飛散するようになりました。
そのほか、中国の黄砂やPM2.5、食生活の欧米化、ストレスの増加なども花粉症の悪化の一因となっています。
現在のスギの量と分布
それでは日本には現在、どれくらいのスギがあるのでしょうか?
まずは日本における森林の割合から見ていきましょう。
林野庁の統計資料をみると、
日本の国土面積(3,779万ヘクタール)の約7割が森林(2,505万ヘクタール)で、
その森林面積の約4割が人工林面積(1,020万ヘクタール)なんですが、
おどろくことに花粉症の原因となるスギ・ヒノキが約7割を占めています。
さきほど、スギ花粉は30年以上経つと育つことを書きましたが、植えたスギの今の年齢を見てみると、
今の日本は大量のスギ花粉がちょうどいい具合に育った状態になってます(;´Д`)
しかも、この先15年はそれなりの量のスギが適齢期になって加算されるので、
どんどんスギを切らないと今より花粉の量が増えていくはずです。
ちなみに、日本のどの地域にスギが植えてあるのでしょうか?
ツイッターを見ていたら、
鼻むずむずするしこの地域花粉多いぞ
— もふふふ (@wata8ch) March 24, 2019
花粉やばー
なんか、そういう花粉多いぜっていうサインも出たって聞いて恐怖
うちの地域は花粉飛散が盛んなんですよ…やめてくれー— かなこっこ (@so_ri_kanakokko) February 25, 2020
こんな花粉多い地域からとっとと逃亡したいわ
— はびく (@tak_vallen) March 7, 2019
といった感じで、
て思いますが、結果は、
リアルに日本中にスギが植えられてました(爆)
そして、沖縄!
天国かっ!!!
スギ花粉に対する政府の対策
悪しきスギ花粉。
この国民病に対して政府はどのような対策をおこなっているのでしょうか?
結論をさきに言うと、
という背景のもとで、まったりとした対策になっています(早く切ってよ!)
何するかを簡単にいうと次の3点です。
- 花粉のあるスギ人工林を切る
- 花粉の少ないスギを植える
- スギ花粉の飛散防止剤を開発して実用化させる
しかも、林野庁は2032年までに花粉の少ないスギ苗木のシェアを7割に増加させることを掲げています。
たしかに嬉しいですよね!
でも、別のグラフを見てみると違和感がでてきます。
このスギの苗木生産量推移グラフの右端・平成28年を見ると、スギ苗木2,118万本のうち、花粉症対策スギが533万本になっています。
ということは、花粉の出るスギを1,585万本植えてることになるんですよね。
という怒りがわいてきます。
そして、花粉の飛散防止剤は今も開発途中で、いつ撒かれるかわからないのが現状です。
さらに、3本の斧の対策はあくまで人工林だけなので、森林の5割を占める天然林にあるスギは何もしないことを思うと、
と思ってします(花粉症マーケットがおいしいんだろ!!)
スギの状況と悪化する花粉症のまとめ
本記事では日本におけるスギの状況をまとめてきました。
これまでの人生で将来の花粉飛散量を考えたことはなかったんですが、今回調べて絶望しました_| ̄|○ガックシ
とりあえず、このままのペースだと15年先の2035年は今よりエグい量のスギ花粉が飛散していることを覚えておいてください。
もしかしたら、
画期的な発明で花粉症がやわらいでるかもしれませんが、そもそも原因となるスギを切っていないからね。
というわけで、年金と同様でセルフケア(自衛)をしていくのが大切だと思います。
以上、モノオス(@monoosu2019)でした。