大学生のころ、ツレが
といって見せてくれた本がロックミュージシャン・矢沢永吉の自伝『成りあがり』でした。
矢沢永吉が広島での少年時代から上京後のバンド活動、キャロル結成を経てソロシンガーとして成功するまでを描いた自伝で、100万部を超えるベストセラーになった。
でも、そのときあんまり矢沢のことを知らなかったんで、「へぇ」って言ってそのまま忘れてしまっていたんですが、
最近、ふとこのことを思い出して読んでみたんです。『成りあがり』。
そしたら、めっちゃおもろい!
いったい何がそんなに心に刺さったかというと、
矢沢永吉のハングリーさ、ストイックさ、賢さです。
というわけで、本記事では『成りあがり』を読んでわかった矢沢永吉のすごさを、名言をまじえながら書いていきます。
『成りあがり』を読んでわかった矢沢永吉のすごさ
矢沢永吉は中学生のころに「スーパースター」になることを目標にしました。
本記事を書いている2020年7月時点で70歳!
今でもバリバリ現役のロックミュージシャンとして活躍しています。
では、なんで矢沢はこうなれたんでしょうか?運がよかったから?
その答えは『成りあがり』を読むとわかります。
矢沢永吉のすごさをご覧ください!
金持ちになる思いの強さ
矢沢が成りあがる(スーパースターになる)ための根源的な動機は金持ちになることです。
というのも矢沢は、
- 3歳のころに母親が蒸発
- 小学2年生のころに原爆の後遺症で父親が死亡
- 親戚たらい回しの末、おばあちゃんに育ててもらう
といった極貧の少年時代を過ごしていたし、
なにより、金持ちの同級生にケーキを自慢されたことが大きく影響しています。
そいつは…そのケーキを、ちぎって……。
オレに投げた。ポンと。頬っぺたに、ペチャっとくっついた。その時、オレがどうしたと思う?
「てめえ、この野郎」と殴りかかる?いや、ちがう。世の中って劇画じゃないんだ。
オレは口惜しかったから、すぐにはなめなかった。けどそれをなめたんだ。
落ちないでくれ、頬っぺたから。落ちないでくれさえすれば、あいつがいなくなってからなめられる。そいつが横を向いているときに、舌をのばしてなめた。
その頃から「誰よりも金持ちになってやる」って気持ちが強力になってた。
こうようにくやしい経験をしてきた人もいると思いますが、
矢沢がすごいところはヤンチャしつつ、もう一方でお金の仕組みを自分で勉強していくところです。
たとえば、アマチュアバンドをしているときには印税の仕組みや計算を勉強するし、
レコード会社に売り込んで、と。あれは、原盤というものがある。出版というものがある。作詞作曲税というものがある。アーチスト印税がある。印税は、だいたい何円何十銭……と全部調べてた。
ビートルズが曲の著作権でどのようなトラブルになったのかなど、海外の先行事例を調べたりします。
しかも、
歌手よりレコード会社が儲かるような業界の仕組みがおかしいと考えて、
ソロシンガーとして独立した際に、現在、マドンナがやっているような360度契約※を独自で作り出しています。
※音楽出版権だけでなく、ライブ商業権、商品化権、肖像権、ファンクラブの会員基盤などほぼすべての商業的活動の権利を一元的に掌握する仕組み
音楽の著作権(出版権)は通常、レコード会社から音楽出版社に管理が委託されるが、矢沢永吉はキャロル解散直後に、ビートルズのアップルにならって自らの音楽出版社を設立。レコードやCDの売り上げにともなって支払われる著作権料のあり方に一石を投じた。……
出版権だけでなく、肖像権の問題もいち早く提起。グッズ販売なども自らの手でコントロールしてきた。さらには’09年のGARURU RECORDS設立で、音源制作や流通をすべて自前で行うスタイルを確立する。
(「Rock’n’Rollぴあ 矢沢永吉、40年間の軌跡と奇跡より)
夢の描き方がでかい
最初は板金屋の大将になってコツコツ稼いで小金持ちになろうと考えていた矢沢ですが、
中学生のときビートルズに衝撃を受けて、
スーパースターになって金持ちになるという目標に切りかえました。
これがすごくおもしろい。
人間だれしも「金持ちになりたい」と思いますが、
ふつうはハイリスクは恐いし、しんどいから、ほどほどの金がもらえる中流の道をめざすものです。
でも矢沢は自分の置かれた環境と興味のなかで、一番オッズが高い(成功しにくいがリターンもでかい)進路を選んでるんですよね。
もうアホか天才がする選択ですが、もちろん矢沢は後者です。
いじけまくって、ぐれる。
冗談じゃない。オレには光があった。スタートはいつも最悪のところからだ。
音楽の世界で成功するやつ、言おうか。
目立ちたいやつだけよ。そういう気持ちがなきゃダメね。人の前に出てやるのが誰よりも好きなやつ、成功するよ。
オレがそうだったもん。
ストイックさがハンパない
矢沢の目標は「スーパースターになること」。
だからそのためには悪魔にもなります。
例えばアマチュアバンド時代、矢沢はつねに腕のあるメンバーを探しては引き抜きや解散をしています。
彼らには悪いけど、ザ・ベースは、オレの手段だったんだ。これを糸口にして、いろんなやつと知り合おうと考えていたわけ。いろんなバンドマンってやつに会って、ちょっとずつグレード・アップしていこう、そう思ってた。
うちのドラムは下手だよ。だけど、いないと困る。とりあえず困る。だから、そいつにだけは(解散計画を)打ち明けたよ。
オレ、ちょっと冷たいかもしれないけど、次のドラマーが見つかるまでって頭だった。そういう意味じゃ、過去、冷たい手段を取ってきたよね。
ここ読んでて、
と思ったりもしましたが、冷静に考えると自分が勝負の世界にいないからだなと。
たとえば、自分がなにかの競技で大会にでるならベストメンバーで出たいし、
ドラクエやるにしても、いいパーティーを組みたい。
そう考えると、本気で勝ちにきている人は常にこういう視点をもっているんだな、と思いました。
オレと、他のやつらの違いって最初からあった。オレは、いつかプロになると思ってる。みんなは趣味で楽しんでいる。
ちなみにキャロルが成功し、まわりからチヤホヤされるようになると、他のメンバーはクスリに手を出したり豪遊したりします。
一方、矢沢はレコード会社の人間と食事したり、今後に備えてお金を貯めていました。
「何だかしらないけど、やれるからやってる」。オレ、そういうのは嫌いなんだよ。
まわりにキャーキャーいわれて、金も、そんなにはないけどサラリーマンやってるよりはメシ食えるし、それにドップリつかったらダメだんだ。
オレは、自分をとりまいている社会の仕組みを、わかろうわかろうとしてた。
前に進むためには、どうしたらいいか。いろんなことを知ろうとしたし、わかってきてた。
目指している場所がちがう。
一言でいうと簡単ですが、ほんとうにストイックな方です。
矢沢永吉がスーパースターになれた理由
というわけで、矢沢がスーパースターになれた理由としては、
自分のなかで「こうありたい」というイメージがはっきりしているところが大きいです。
なりたい像がはっきりしているからやることもはっきりしてくるし、できるまでやめません。
キザに聞こえるかもしれないけど、オレは夢を、目的を失ってなかったね。
何しに横浜に来たんだって。絶対スーパースターになるんだって。そういう意地はあった……
それが支えだった。武器だった。
そして、まわりと比較しないので、まわりが止めたり馬鹿にしても構わずトライしていきます。
とはいえ、過剰な自信家ではありません。
オレっていうのはね、メチャクチャ安心してないと気がすまない男なんだよ。
でも、やっていることは、常に不安だらけ。
どういうことかって言えば、安心したいがために、行動する。だから、行動が早い。
元メジャーリーガーのイチローは矢沢永吉の大ファンらしいですが、
たしかに2人の考え方や行動はすごく似ていますね。
矢沢永吉「成りあがり」の感想まとめ
本記事では『成りあがり』を読んで感じた、矢沢永吉のすごさを書いてきましたが、
- 語り口調なのですごく読みやすいし
- 矢沢の思考と成りあがっていくところがすごく熱いし、
- マネジメントという観点で読んでもおもしろい
すごく自分もドキドキなれる本です!
僕なんて『成りあがり』を読んでからキャロルに興味を持って、ベスト盤のCDまで買っちゃいましたが、
まだ演歌やフォークソングが全盛だった時代と思うと、このサウンドはバケモノです!
というわけで、自信を失いかけたり、熱くなりたくなったら、『成りあがり』読んで、キャロル聞いてワオワオしながら、ピーハツ(HAPPY)になろうと思います。
以上、モノオス(@monoosu2019)でした。