【『砂の栄冠』まとめ】黒い心がクセになる!どう組織をマネジメントするかという観点で描かれた高校野球漫画

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でチームの心をつかんだと心で思う七嶋の画像
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高校野球の漫画といえば青春!

さわやかな球児が真っ向勝負を繰り広げるのが王道なわけですが、

『ドラゴン桜』で有名な三田紀房先生の描いた『砂の栄冠』はまさにその逆。

主人公はずるがしこいし、監督がクズすぎるし、

監督に振り回された部員が毒はきまくったりと、まったくさわやかさがありません(笑)

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でチームの心をつかんだと心で思う七嶋の画像引用:『砂の栄冠』

でも、すっごいおもしろいんです!この漫画。

それは、主人公以外ろくな選手がいないうえ監督がクズという鬼設定のなか、

クレバーな主人公が分析しながら、

チームをどうマネジメントして甲子園に出るのかという視点で描かれているからです。

モノオス
モノオス
思考のプロセスが見えるのがワクワクするんだよね

というわけで、本記事では『砂の栄冠』の魅力をまとめて書いていきます。

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『砂の栄冠』のあらすじ

埼玉県西部にある樫野かしの高校は、学校創立100周年に合わせて野球部を強化。

初の甲子園出場をめざしますが、結果は県大会決勝で逆転負け。

夢が果たせずに終わってしまいました。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』レビューで中村先輩が心崩壊した画像引用:『砂の栄冠』

その翌年のチームは戦力が大幅に落ちたヘボチームで、モチベーションも激しく低くなってしまいます。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で、創立100年目に県大会優勝を逃し、やる気がなくなっている部員の画像引用:『砂の栄冠』

そんなチームのキャプテンになった七嶋ななしま(主人公)は、ある日、野球部ファンの老人トクさんから1,000万円を受け取ることになります。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でトクさんから1000万円をもらう七嶋の画像引用:『砂の栄冠』

大金を託されてビビる七嶋でしたが、

1000万を使って甲子園に出てほしいというトクさんの熱い想いに応えるため、甲子園出場を目指すのでした。

ブログ「モノオス」トクさんに本気で甲子園を目指すことを誓う七嶋の画像引用:『砂の栄冠』
ちなみに

樫野かしの高校のモデルは、選抜高校野球大会に過去2度出場した群馬県立高崎高校です。

モノオス
モノオス
進学校がモデルだったんだね!

『砂の栄冠』の面白さ1:全然さわやかでない

『砂の栄冠』は人間が持つさまざまな感情(本音)がリアルに描かれてて、

さわやかさが全然ないですが、逆にそのきたなさや黒さがクセになります。

文句ばっかり言っているOB会

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で県大会決勝で負けて愚痴るOB引用:『砂の栄冠』

このOB会、展開が少しでも悪くなったり負けたら、とにかく文句ばっか言っています。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で試合展開が悪くて愚痴るOBたち引用:『砂の栄冠』

たしかに試合を見に行くと、評論家みたいにあれこれ言ってしまうことがあるのでわかるんですが、

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で夏の準優勝校である樫野が負けそうになって愚痴るOBたち引用:『砂の栄冠』

とはいえ、こんなに文句ばっかでてくる漫画はなかなかめずらしいです。

飲み会の段取りばっかり考えているOB会幹部

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で、すぐ祝勝会を開こうとするOB幹部の画像引用:『砂の栄冠』

一方、野球部OB会の幹部は飲み会のことばっかり考えてますが、

試合の最中に登場しては毎回こんなやりとりしている姿は結構シュールです。

しかも試合が盛り上がってくると、

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で、試合展開が気になってホテルからの問い合わせに対応できないOB幹部の画像引用:『砂の栄冠』

飲み会どころじゃなくなるし、

状況が悪くなってくると、

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で、試合に負けそうでホテルにキャンセルをしようとするOB幹部の画像引用:『砂の栄冠』

めっさ弱気になります。笑

ちなみに

ローストビーフの発注が鉄板ネタですが、

一度だけキャンセルできなくて、やけっぱちになったことがあります。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で、ローストビーフがキャンセルできなくてビビるOB幹部の画像引用:『砂の栄冠』

黒い心がやたら出てくる

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で、七嶋が徹底的にいいこちゃんで試合に臨もうと考える場面の画像引用:『砂の栄冠』

これ、この漫画でかなり気に入っているところです。

主人公の七嶋は野球センスがあるうえ分析力を備えたクレバーな選手なので、

自分が思ったようにコトを運ぶためにあれこれ仕込むのですが、

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で七嶋が左でピッチング練習して会場を沸かす場面の画像引用:『砂の栄冠』

頭のなかで考えている黒い心まで描かれているのがクセになります。

モノオス
モノオス
めっちゃ悪い顔するし

といっても七嶋だけが黒いのではなくて、

いろんな登場人物が衝突するなかで黒い感情がでてきます。

たとえば、イヤなことを監督に押し付けられた部長がこっそりブチキレてたり、

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でガーソに丸投げされてキレる小沢の画像引用:『砂の栄冠』

監督の気まぐれで急にメンバーチェンジされた部員が毒を吐いたり。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で突然ガーソに交代されてキレるゴンの画像引用:『砂の栄冠』

とにかく、場面場面でのキレ方がすっごいリアルだし、共感できるのですっきりします。

『砂の栄冠』の面白さ2:甲子園の戦い方という法則

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で滝本が甲子園の戦い方を語り出す場面の画像引用:『砂の栄冠』

よくある高校野球漫画って、各チームが個性や能力を活かしながらどう相手と戦うかを描いています。

『砂の栄冠』もそういう要素もあるんですが、

そもそも甲子園の法則を知ってて、

法則に合わせたチームがより有利に試合を運べる

という考え方がおもしろいです。

では、どんな法則があるのか簡単に紹介します。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で滝本が甲子園の高校野球は興行だという場面引用:『砂の栄冠』

甲子園の全試合を見ている通称・常連組の滝本は、

甲子園での野球の本質は会場全体で作り出す舞台総合芸術だと言ってます。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で甲子園は舞台総合芸術だと説明する場面引用:『砂の栄冠』

そんな舞台を盛り上げるのに必要なのはスターとドラマ

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で滝本が甲子園にはスターとドラマが必要だと説明している画像引用:『砂の栄冠』

こういった熱狂やドキドキ感を絶えず生み出すことで、甲子園というブランドを作っていると考えています。

そして、そんな舞台だからこそ実はシナリオが決まっているとも。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で滝本が甲子園の筋書きは最初から完成されていると説明する場面引用:『砂の栄冠』

それは観客の心。

「試合が盛り上がるように逆転してほしい」

「ここでエラーして泣きくずれて欲しい」

といった観客の熱狂が独特のムードを作り、

選手たちはまるで吸い込まれるかのようにその通りの展開になっていくのだと。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で甲子園の筋書きはファンの心の願望が作り出していることを説明している画像引用:『砂の栄冠』

だから、チームは自分たちの能力を磨くとともに、いかに観客を味方につけるかが大事

ファンになってもらうようなチーム作りをしておけば、有利に試合を展開できるという考え方です。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で甲子園で選手たちは客が望むプレーを見せると応援してもらえることを説明している画像引用:『砂の栄冠』
モノオス
モノオス
七嶋は滝本に教えてもらった法則をもとにチームを作っていくんだよ

ちなみに、

個人的にはこの法則が正しいかどうかはどっちでもよくて、

こういった考え方をベースにして組織を作っていくところに感心しました。

発想がすごいなと。

なので『砂の栄冠』を読んでから、

仕事でもなんらかの法則や仮説を立てて、そこに向かって試してますもん。

これすごく役立ちました。

『砂の栄冠』の面白さ3:主人公がどうしようもないチームをマネジメントするところ

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で七嶋がゴンを頼りにしていると言ってモチベーションを上げようとさせている場面引用:『砂の栄冠』

はっきり言って樫野高校野球部は、しょぼいです。

それは主人公の七嶋以外の選手が大したことないからです。

でも、こういう1人だけずば抜けて能力の高い選手がピッチャー&4番でキャプテンしてて、主人公の活躍だけで勝ち進むのってよくありますよね。

ところが、『砂の栄冠』の場合は監督もクズです

なので、能力が高くてクレバーな七嶋がへっぽこチームとダメ監督をどうマネジメントするのかが見どころになります。

一見むちゃくちゃな設定に見えますが、

意外と学校のクラスや勤務している会社で同じような感じのメンバーになることもあるので、置き換えて読むと味わい深いです。

せっかくなので足を引っ張る主な登場人物を紹介します。

樫野の微妙なメンバーたち
ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』のゴンの紹介引用:『砂の栄冠』

ゴンはそんなに性格は悪くないんですが流されやすいし、あんまり考えないキャッチャーなのが痛いです。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』の郡(グン)の紹介引用:『砂の栄冠』

グンはチームのなかでは能力が高いですが、やる気のムラがあるうえ、

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で三振したのに盛って語るグン三振したときも大袈裟おおげさに語るグン

プライドが高くて自分に都合いいのがイタイです。

 

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』カマタリとガンネンの紹介引用:『砂の栄冠』

カマタリとガンネンはグンの派閥メンバーです。

自己紹介はインパクトありますが、

能力もやる気もあまりないんで、試合での存在感はほぼゼロです。

ちなみに
ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』包茎手術がうまくいって気合の入っているカマタリ引用:『砂の栄冠』

カマタリの包茎出術は、うまくいったみたいです。

めずらしいクズ監督
ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で、曽我部公俊(ガーソ)の紹介引用:『砂の栄冠』

そして監督のガーソ。

ガーソは試合運びが単調で、責任は取らない、目立ちたがりで自分のことしか考えていないクズ監督です。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でガーソが七嶋がこけたら終わるチームだと冷ややかに語っている画像クズ発言をするガーソ(引用:『砂の栄冠』)

よく手のひらも返すし。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』で七嶋のピッチングを褒めるガーソの画像びっくりするくらい切りかえが早い(引用:『砂の栄冠』)

選手からはめっちゃ嫌われてますが、

選手の活躍のおかげで監督実績を上げている強運の持ち主です。

モノオス
モノオス
職場でもそういうヤツいるよね

ちなみに、ガーソはダメ上司(ダメ先輩)の見本として素晴らしいです。

自分がこうならないためのケーススタディとして、一度見ておくとお得です。

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『砂の栄冠』で一番心に残った名言

七嶋が頭を使いまくっている漫画なので、たくさん名言や名場面があるんですが、

一番印象に残っているのは

「どうやってストレスを取り除くのか」

についてマッサージ師が教えてくれたこの名言です。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でマッサージ師がストレスを解消する方法を七嶋に教えている場面

どんなピンチでもそれは予定どおり

シナリオに はじめから書かれていたと思うこと

これ、マジでいいセリフですよね。

自分がピンチになったとき絶対思い出そう!って思いましたもん。

そして、このシナリオをどのように想像して対処していくのかもご覧ください。

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でマッサージ師に教えてもらったストレス解消法を七嶋がマウンドで思い出している場面引用:『砂の栄冠』
ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でマッサージ師に教えてもらったストレス解消法を七嶋がマウンドでイメージして自分を奮い立たせている場面引用:『砂の栄冠』

ピンチになるのはシナリオどおり。そしてピンチを切り抜けるのもシナリオ。

このように成功する自分までイメージして奮い立たせています。

モノオス
モノオス
なんか勇気がわくよね

いい意味で演じることの大切さを学んだ、すごく気に入っている名言です。

『砂の栄冠』の面白さ解説まとめ

ブログ「モノオス」。『砂の栄冠』でチームの心をつかんだと心で思う七嶋の画像引用:『砂の栄冠』

本記事は『砂の栄冠』の面白さについて解説しました。

クレバーな主人公がへぼチームをどうマネジメントして甲子園をめざすのか

という視点がおもしろい作品ですが、

日常に置き換えてみると、

意外と生きていく中でまわりのメンバーとの調整で苦しむことって多いんですが、

そんなときに人生を上手に生きるヒントが載っている漫画だと思いました。

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